俺の道のり。
2006年5月31日塗装工になるなんて思ってもなかった。
スーツ着て、なんだかんだで
優しいお父さんって言われるような奴になる事が夢だった
だけど、現実は甘かった
高校受験で、学力の向上を進める親の意見と
金銭的負担をかけたくないため,公立にする俺は
喧嘩し、行く先もない俺は
『もう帰らない、帰ってくるときは俺が一人前になった時や』
そう言い家を飛び出し、携帯も川に放り投げ
確かあの頃は・・B系着てた。
ええ。で、何を思ったか俺は
ありったけの貯金を詰めた財布を持って。
作業服屋に行き
たしか、寅壱の4超ロングと言われる
ニッカズボンの中で一番裾が長いズボンを買った。
意味もなく、上から下まで、鳶服にした。
足袋をはいて、裾がダボダボで何度もこけそうになった
歩く度に足袋の衝撃が足に伝わった
そして意味もなく高速船で愛媛県に辿り着いた
松山市だった。
愛媛は聞いた事があったが
田舎でつまらない所と聞いていたので、訪れた事はなかった
仕方なく、タクシーの運転手に
『街はどこや?』と聞くと
『電車があるから、そこで大街道ってあるやろ。』と言われ
大街道という所に着いた。
もう夜で、しかもまだ8時。
キャバ嬢や、ホストがゴロゴロいる割には
店はほとんど閉まっている。
『タクシーの野郎、騙しやがったな!』
そう、広島では8時はまだ平気で店が開いている
その時松山の印象は
広島で言う、呉レベルの田舎だと思っていた
俺は雨が降る中、当てもなく、とぼとぼ歩いていた。
すると、バス亭に座る一人のじいさんと目が合った。
いきなりじいさんは『おい、兄ちゃん、どこの会社?』
そう、笑いながら聞いてきた。
俺は喋れなかった。
なんか急に涙が出て来た。
ついさっき広島から飛び出してきたばっか・・
なのに、なんでこんな見知らぬ土地に俺いてるんや・・
じいさんは『よいよい、泣くなんか情けないぞ。』
そう言い、俺の肩をポンポン叩く。
俺は知らないじいさんに、全てを話してしまった
広島では絶対ありえなかった事だが・・
じいさんは全てを聞き終えるなり、こう言った
『お前、ペンキ屋になってみるか。』
俺は『ペンキ屋ですか?』と改めて聞きかえすと
じいさんはニコリと微笑み
『ほうよ。信じれんかもしれんが
ワシの息子が今会社を継いどるんだ。』
そう言う。
俺は『じいさんって、ペンキ屋?』と聞くと
じいさんは
『もう、とうの昔に辞めたけどの。
兄ちゃんよ、お前がやる気があるんなら
ワシも教える事だけは出来るぞ。』
と、俺の肩を強く握る。
俺は、その時じいさんが神に思えた
『お願いします、俺をペンキ屋の職人にさせてください』
そう、地べたに頭をつけるとじいさんは
『まずは、兄ちゃんよ。
お前のお父さん、お母さんに連絡せないかんぞな。』
そう言い、携帯電話を出し『何番?』と聞いてくる。
俺はじいさんにしゃべると
じいさんは電話口で出た親にこう言う。
『あーもしもし。夜分遅くにごめんなさいね。
こんばんわ。あのね、わたしは愛媛県松山市で
ある塗装会社の社長だけれども。
お宅のね、息子さんが、なんかいろいろあって
愛媛県まで来て。
行く宛も無ければ、帰ることもしたくないと言うもんだから。
わたしもだいぶ前に現場引退したもんだからねぇ。
人手が足りないわけじゃないけども
どーでしょう?
うちの新しい社長に見習いとしてコキ使ってもらって
ついていけないようだったら、責任を持って
こっちでお金を出して、お宅の実家まで帰らせますから
どんなでしょうか?』
と言ったのだ。
ウチの親は学歴重視だったため、最初は反発していたが
『大学出てもペンキ屋をしとる奴だっておる!
見ず知らずのあんたの息子の性根を入れなおして
見ず知らずのこっちがお金を出して成長させると言うとるんだ!
かまんやないかい!』
とじいさんは言う。
俺の親は
『・・・まぁ、顔見たくないんで、しばいてやって。』
と言ったのが聞こえた。
そして電話が切れた。
じいさんは微笑み『今日から、お前は見習いやのぉ。
ビッシビシにしばいてやるけんの。一緒に帰ろうか。』
そう言い、俺の背中を思いっきり叩いた。
修行中はすごかった
炊事掃除洗濯
塗装の基本知識
材料の調合方法
塗装の機械使用手順
ハケやローラーの動かし方
瓦屋根の渡り方
簿記取得
英検取得
危険物取り扱いの勉強
関係ないことも多々あったが
数え切れないほど叩き込まれ
数え切れないほどじいさんに殴られた
今の社長は『がんばらにゃ、終わらんぜ』と言うだけで・・
そして、3年たった今年の3月。
じいさんから
『よう頑張ったの。ちゃんとした事はあまり教えれんかったが
職人としての意気込みは感激したぞ。
ワシからの卒業証書は、新しい作業服や。
3年間、仕事終わったら毎回そのニッカを洗いよるんをみると
もう、情けなくての。涙が出るかぁぃ。
ほれ、またここで仕事したくなったらいつでも顔出せ。』
そして最近まで居た会社にいて・・今に至る。
明日、じいさんの会社の応援に行きます。
腕を上げた俺を、じいさん喜んでくれるかな・・
スーツ着て、なんだかんだで
優しいお父さんって言われるような奴になる事が夢だった
だけど、現実は甘かった
高校受験で、学力の向上を進める親の意見と
金銭的負担をかけたくないため,公立にする俺は
喧嘩し、行く先もない俺は
『もう帰らない、帰ってくるときは俺が一人前になった時や』
そう言い家を飛び出し、携帯も川に放り投げ
確かあの頃は・・B系着てた。
ええ。で、何を思ったか俺は
ありったけの貯金を詰めた財布を持って。
作業服屋に行き
たしか、寅壱の4超ロングと言われる
ニッカズボンの中で一番裾が長いズボンを買った。
意味もなく、上から下まで、鳶服にした。
足袋をはいて、裾がダボダボで何度もこけそうになった
歩く度に足袋の衝撃が足に伝わった
そして意味もなく高速船で愛媛県に辿り着いた
松山市だった。
愛媛は聞いた事があったが
田舎でつまらない所と聞いていたので、訪れた事はなかった
仕方なく、タクシーの運転手に
『街はどこや?』と聞くと
『電車があるから、そこで大街道ってあるやろ。』と言われ
大街道という所に着いた。
もう夜で、しかもまだ8時。
キャバ嬢や、ホストがゴロゴロいる割には
店はほとんど閉まっている。
『タクシーの野郎、騙しやがったな!』
そう、広島では8時はまだ平気で店が開いている
その時松山の印象は
広島で言う、呉レベルの田舎だと思っていた
俺は雨が降る中、当てもなく、とぼとぼ歩いていた。
すると、バス亭に座る一人のじいさんと目が合った。
いきなりじいさんは『おい、兄ちゃん、どこの会社?』
そう、笑いながら聞いてきた。
俺は喋れなかった。
なんか急に涙が出て来た。
ついさっき広島から飛び出してきたばっか・・
なのに、なんでこんな見知らぬ土地に俺いてるんや・・
じいさんは『よいよい、泣くなんか情けないぞ。』
そう言い、俺の肩をポンポン叩く。
俺は知らないじいさんに、全てを話してしまった
広島では絶対ありえなかった事だが・・
じいさんは全てを聞き終えるなり、こう言った
『お前、ペンキ屋になってみるか。』
俺は『ペンキ屋ですか?』と改めて聞きかえすと
じいさんはニコリと微笑み
『ほうよ。信じれんかもしれんが
ワシの息子が今会社を継いどるんだ。』
そう言う。
俺は『じいさんって、ペンキ屋?』と聞くと
じいさんは
『もう、とうの昔に辞めたけどの。
兄ちゃんよ、お前がやる気があるんなら
ワシも教える事だけは出来るぞ。』
と、俺の肩を強く握る。
俺は、その時じいさんが神に思えた
『お願いします、俺をペンキ屋の職人にさせてください』
そう、地べたに頭をつけるとじいさんは
『まずは、兄ちゃんよ。
お前のお父さん、お母さんに連絡せないかんぞな。』
そう言い、携帯電話を出し『何番?』と聞いてくる。
俺はじいさんにしゃべると
じいさんは電話口で出た親にこう言う。
『あーもしもし。夜分遅くにごめんなさいね。
こんばんわ。あのね、わたしは愛媛県松山市で
ある塗装会社の社長だけれども。
お宅のね、息子さんが、なんかいろいろあって
愛媛県まで来て。
行く宛も無ければ、帰ることもしたくないと言うもんだから。
わたしもだいぶ前に現場引退したもんだからねぇ。
人手が足りないわけじゃないけども
どーでしょう?
うちの新しい社長に見習いとしてコキ使ってもらって
ついていけないようだったら、責任を持って
こっちでお金を出して、お宅の実家まで帰らせますから
どんなでしょうか?』
と言ったのだ。
ウチの親は学歴重視だったため、最初は反発していたが
『大学出てもペンキ屋をしとる奴だっておる!
見ず知らずのあんたの息子の性根を入れなおして
見ず知らずのこっちがお金を出して成長させると言うとるんだ!
かまんやないかい!』
とじいさんは言う。
俺の親は
『・・・まぁ、顔見たくないんで、しばいてやって。』
と言ったのが聞こえた。
そして電話が切れた。
じいさんは微笑み『今日から、お前は見習いやのぉ。
ビッシビシにしばいてやるけんの。一緒に帰ろうか。』
そう言い、俺の背中を思いっきり叩いた。
修行中はすごかった
炊事掃除洗濯
塗装の基本知識
材料の調合方法
塗装の機械使用手順
ハケやローラーの動かし方
瓦屋根の渡り方
簿記取得
英検取得
危険物取り扱いの勉強
関係ないことも多々あったが
数え切れないほど叩き込まれ
数え切れないほどじいさんに殴られた
今の社長は『がんばらにゃ、終わらんぜ』と言うだけで・・
そして、3年たった今年の3月。
じいさんから
『よう頑張ったの。ちゃんとした事はあまり教えれんかったが
職人としての意気込みは感激したぞ。
ワシからの卒業証書は、新しい作業服や。
3年間、仕事終わったら毎回そのニッカを洗いよるんをみると
もう、情けなくての。涙が出るかぁぃ。
ほれ、またここで仕事したくなったらいつでも顔出せ。』
そして最近まで居た会社にいて・・今に至る。
明日、じいさんの会社の応援に行きます。
腕を上げた俺を、じいさん喜んでくれるかな・・
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